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  • 2022年12月1日news

    プロスポーツトレーナー 山田 晃広氏②

    後編


    対応する技術そして対話力の重要性

     

    Q:それからトップチームでスポーツトレーナーとして活躍されましたが、振り返って成功するにはどういった技術が必要でしょうか?

     

    僕らの仕事は選手にどれだけ試合に集中させることが出来るかということです。もちろん様々な手の技術を磨くことは必要ですが、技術以外の所が大事でもあり、それは一言で言えばコミュニケーション能力です。現場では選手のその日のコンディションやメンタリティを探ることからはじまり、時には私的に抱えているメンタルの事情などに踏み込んでケアすることも必要です。選手に関することなら些細なことでも把握していく姿勢が必要です。また適切な言葉を必ず返せることも大切。その日の状況で直ぐに解決できない問題でも、聞いてあげる機会を必ず作る。そうしてここはバランス感覚が必要ですが、得た選手の情報をコンパクトにして監督にチームに有益な形で伝えることができなければいけません。チームを受け持つ仕事はチームの成績を高めることにありますからね。だからこそそれが出来る出来ないも重要なポイントです。

     

     

     

    Q:細かな気配りが必要だと察します。選手のポジションによる独特な動きなど細かく熟知することは必要ですか?

     

    山:もちろん知っていれば助かりますが、全部知らなくても大丈夫。彼等はその道のエキスパート、わからない事があるのは当然。大切なのは知っていく努力、知らないから教えてほしいと率先して言えること。選手は姿勢を見ています。しかしこのスポーツは〝自分の専門ではなかったので〟“知らない”と連発するのはNG。それはそのスポーツに全力を傾ける選手に対する侮辱です。

     

     

     

    一生懸命さは必ず相手に伝わる

     

    Q:お話から信頼関係を築く重要性が見えてきますね。

     

     

    山:それにつきますね。一生懸命にやってくれていると思われることが第1フェーズで、そこが一番大事なことかもしれません。知ったかぶりでああだこうだやるよりは、「もう一日時間をくださいとか、もう一回考えさせてください 、こんな取り組みならいけるかもしれないのでまた明日来て下さい」とか、そのほうがよっぽど素直で通じる。姿勢が伝わるんですね。上っ面の言葉と上っ面の技術と上っ面のコミュニケーションでその場を切り抜けようと思うと、自分のスキルにも繫がりません。私はとにかく選手と繫がる場を持ちたかったんで、普通トレーナーはやらないことですが、フィジカルトレーニングなら一緒に出来ると、選手に混じってやってましたね。

     

     

     

     

    Q:率先して会話の糸口を探っていらっしゃったのですね。

     

     

    山:そうですね。整骨院でも同じ事だと考えます。それは来院中いかに心地よく過ごしていただくことに繫がることかも。サッカーで言えば選手のスパイクが新しくなっていることに気づいたとしましょう。そこで「新品に替えたのですね 」と、言える人は患者さんの服を「それ素敵ですね。」といえるタイプの人です。そういうことを言われて嫌な人は1人もいないですよね。 気づく人はいっぱいいるけど発言に繋げる人はあまりいない。こういった小さな言葉であっても積み重ねれば選手や患者さんとの距離も縮まっていきます。

     

     


    〝どうやったらより良く〟を常に考える

     

    Q:最後にスポーツトレーナーを目指す人へアドバイスをいただけますか

     

     

    山:コミュニケーション能力を高めることの重要性を話してきましたが、アスリートと接する現場で実際に必要となる最低限の技術が4つあります。①回復させてくれるマッサージ ②テーピング技術 ③ 全ての筋肉を伸ばすためのストレッチ ④全ての間接を動かしてあげる関節モビライゼーション。僕もこれらの技術をプログラム化して企業や専門学校に導入しています。
     最後に、僕が院で働いている時に心がけていたことがあります。例えば胃痛や腰痛などに対して、いわばオーディナリーな施術を行う場合でも、どれだけ短い時間で同じ効果を出すことが出来るかを常に模作していました。〝どうやったらより良く〟その課題にいつも向かい合うことが大切です。施術の時間は自分のスキルを高める時間です。一般の患者さんから学べることは多く、スポーツトレーナーを目指す人は治療院では学べないと言う話は全然違い、自分で課題を見つけていくとめちゃくちゃなスキルアップになっていきます。1年続けられたらえぐいスキルになり、それを十年続いたらとんでもないスキルになりますよ。またこの先ずっと、人が人の身体をケアする職業がなくなるとは思いません。人に喜んでいただける仕事ってすごく大切な事です。子どもからお年寄り、そしてアスリート、やり方次第でどんどん幅も広がる業界だと思っています。ポテンシャルはまだまだ広がって行きますね。

     


    プロフィール

    高校卒業後、鍼灸マッサージ院に入社。2000年にスペインに渡り、ローカルクラブでトレーナーを務める。2003年にスペイン1部リーグの「ラシン・サンタンデール」のトップチームトレーナーに就任(スペインリーグで日本人初)。2004年に帰国後は「湘南ベルマーレ」のチーフトレーナー、そしてなでしこリーグ「神戸レオネッサ」のトレーナーとして活躍、また澤穂希選手や大野選手の専属トレーナーを務める。現在は立ち上げた「株式会社ロコケア」代表として治療院運営にあたるほか、トレーニングとマネジメント業務を行う「株式会社The STADIUM」を経営。プロトレーナーの育成にも力を注いでいる。1974年生まれ 東京都出身。

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